目次
■ 関西発の第六回年次総会に向けて/総会準備会
■ 関西での総会にあたって/上池伸
■ 伝統を未来につなげる会の政策提言とその解説/後藤治
■ 総務だより「柔らかい組織を目指して」/成岡茂
■ 木製建具のディテール五/松本昌義
■ コラム・古民家畏るべし/稲 貴夫
■ 長徳寺の土台
この建物は寛文七(一六六七)年、埼玉県川口市芝の臨済宗の古刹長徳寺の本堂である。
現在に至るまでに大きな改修工事が天保四(一八三三)年から七(一八三六)年と、平成十四年から十七年二回おこなわれた。関東大震災では、境内の多くの建物が倒壊を含め大きな被害をうけた。 本堂は倒壊を免れたが、いたる所の壁に筋違が挿入され修復が行われていた。平成の改修では、これらの筋違を外し耐震補強が考慮された。
正面通りは自然石の玉石にホゾを挿した石場建てで、他三方には土台(檜六寸角)が建設当初から設けられていたことが確認された。 土台の継手は追掛大栓継(長さ二尺)で、礎石の玉石との間に飼木(長さ一・五尺巾六寸高さ三寸)が設けられ、これをひかり付けすることで建物の水平を調整していた。
なお、境内に新築された信徒会館は、田中文男氏の最後の設計で、禅宗様式を用いた儀式ホールと、書院造りの座敷とで構成された秀作である(田中文男氏は平成二十二年八月九日永眠された。 その功績に思いを致し、冥福をお祈りいたします)。(風)