伝木19号(平成22年6月20日発行)

目次

○災害支援と伝統構法修理技術研修会を終えて〈柏崎市五日市と茨城大子にて〉
  
/井上説子

○大子研修会に参加して/大屋工務店 大屋佳葉・大屋慶?

○「伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験」新体制で再スタート
  /上野英二

○左官職人/新保正一郎さんに聞く(四)

○新保正一郎さんに聞く・鳶のはなし/桐河俊雄

○新保正一郎さんの仕事(三)三浦清史

○秩父木組みの家プロジェクト奮戦中/鈴木久子

○木製建具のディテール(4)/松本昌義

○古民家再生工事を請けて/上内康弘

○講習会「伝統を語るまえに・・・・知っておきたい日本の木造建築工法の展開」
 
報告/佐々伸子

○旧横田家の土間上の渡顎・大栓打ちの梁組〉

 この建物は一七〇〇年代末頃に建てられたつくば市(旧新治郡桜村上大角豆)の代々農業を営んできた横田家の居宅であった。
 研究学園都市の建設が始まって二十年が経過した際に筑波地方の典型的民家を「伝統と開発の調和を象徴するもの」として学園都市中心部の公園内に移築された。この住宅にみられる技法は、外周部に土台を設け、全ての部屋に天井が張られた、現代住宅へ繋がるひとつの完成したかたちと捉えることができる。見栄を意識した感覚はその構成材料の仕口や仕上げに表れている。
 見えるところは、込栓・車知栓打ち・落し蟻・渡顎大栓打ちなど巧妙な仕口にしているが、見え隠れの仕口は鼻栓打ちで簡略化している。この建物は移築の際に構造計算により安全性の確認が求められ、杉山英男先生の指導のもと、我が国では二番目の実物建物の水平加力実験が行われた。最大荷重7.1t時でせん断係数は0.125で、この際の柱傾斜角は、土間東通りで約1/65ラジアン、土間ザシキ境で約1/40ラジアン、オクザシキ西通りで約1/30ラジアンであった。建物の固有周期は0・5秒であった。(風)

旧横田家の土間上の渡顎・大栓打ちの梁組

1)「旧横田家の土間上の渡顎・大栓打ちの梁組」

 

竹コンパスを駆使してひかり付けの実習 大子研修会

2)「竹コンパスを駆使してひかり付けの実習(大子研修会)」

 

どこが房州石でどこが擬石? 靖國神社

3)「どこが房州石でどこが擬石?〈靖國神社〉

 

古井家復元後の写真

4)「古井家復元後の写真」