伝統木構造とは

伝統木構造について ~ 伝統木構造は消滅しそうです ~

伝統木構造って何?

「宮大工の建てるお寺やお宮のことですか?」

  • 文化財の社寺は立派な伝統木構造ですが住宅や店舗でも伝統木構造でつくられるものはたくさんあります。

「和風の建築のことですか?」

  • 和風の建築が必ずしも伝統木構造ではありません。

  • 伝統木構造は次の4点が守られている木造技術です。
  1. 主に日本の山で育った木を無垢のまま使う。
    イラスト1
  2. 架構は木材を組んでつくる。
    イラスト2
  3. 地元で手に入る木、土、草といった天然素材を用い職人がつくる。
    イラスト3
  4. 日本の文化に根差す。
    イラスト4

伝統木構造の良さは何ですか?

  • 台風や地震に強い木造です。
  • 維持管理がしやすく100年以上の耐久性があります。
  • 地産地消でごみをほとんど出しません。
  • 化学物質を含まないので健康被害が出ません。
  • 日本の風土に合った快適さがあります。

伝統木構造が広まっていないのはなぜですか?

  • 大量生産、大量消費、工業化という現代の流通経済に乗らないからです。
  • 伝統木構造を支える大工、職人、製材業者は大きな組織と資本力がなく、技術開発や生産システムの刷新ができません。
  • 日本の伝統的木造技術に対しての工学的研究が著しく遅れているため、法的な基準が整備されていないからです。

私たちは伝統木構造を失ってはいけない!

伝統木構造は過去のものではありません。伝統木構造は今でも世界に冠たる木造技術ですが、現代の知見を加えればさらに発展させることができ伝統的な建造物をつくるだけでなく、新たな木造建築をつくる技術になるのです。
また、伝統木構造の中には私たちが近代化の中で忘れてしまった日本の木を生かす技術が残っています。そこには私たちが日本の風土の中で楽しく生きていくための知恵が詰まっています。それは工業化グローバル化の中で失われつつある価値です。しかし、グローバル社会がもつ危険、世界経済の破綻、エネルギー問題、自然災害による孤立に対して、私たちの社会や日本という国が生き残るためには決して失ってはいけない価値なのです。
現在、伝統木造構造でつくられる住宅は全国につくられる木造住宅の1%にも満たない状況です。伝統木構造はもはや風前の灯と言わざるを得ません。
日本人が数千年にわたり培ってきた高度な木造技術をもはや無形文化財としてしか保存できないのでしょうか?
あまりにもったいないことです。
これを救うために多くの方々の協力が必要です。

お願い

こうした伝統木構造価値を多くの人に伝えて下さい。
伝統木構造の家に住んでいる人はもう一度家の価値を見直し、建て替えずに伝統木構造でリフォームして使う努力をしてください。
これから家を建てようとする人は、伝統木構造でつくることを検討してみてください。ハウスメーカーや建設会社と張り合うつもりはありません。全体の1%でもよいので伝統木構造の家が作られると伝統木構造が生き残ることができます。それに伴って故郷の森林、職人、伝統的材料メーカーが残ることができます。
それが伝統木構造を未来につなぐことになります。
イラスト伝統構法