伝木18号

伝木18号
平成22年3月23日発行
■今年を社会に伝統を再認識してもらう年にしよう/増田一眞
■平成二十一年度総会および安曇野セミナー/梅田太一
■伝統構法による建築の修理技術の研修会
       安西悦子/廣田文子/真野 晃
■法整備勉強会からの報告/梅澤典雄
■木製建具製作現場見学会/西本直子
■伝統入門2・招き屋根/三浦清史
■木製建具のディテール四/松本昌義
■「伝統の木組競技会」の提案/増田一眞
■総務便り十・ 若者に未来を/井上説子
■ コラム・木の文化と石の文化/稲 貴夫

 

総会・セミナー 懇親会 
総会・セミナー/懇親会

 

地震に耐えた伝統建築  
地震に耐えた伝統建築

旧岡崎邸の土台と足固め
旧岡崎邸の土台と足固め(写真3)

この建物は天保六年(一八三六年)に建てられた鳥取藩の武家屋敷で、昭和十八年(一九四三年)の鳥取地震M七・二が見舞っているがほとんど損傷を受けずに今に至っている。
この建物は現在の木造住宅の基本的構成の原点というべき特徴をもっている。
二階に座敷を設ける二階建住宅。九十センチに及ぶ盤築による地盤改良。

総土台構えで間仕切りにも土台を設ける。
足固を用いて床レベルを固める。五・二寸の面皮の通柱を多用し、二階床を受ける高さに胴差を用いる。二階の軒桁廻りを同一レベルに設置し、小屋梁を架ける。継手は全て金輪継とし、通柱での横架材の仕口にはヤトイ車知を用いる。
これらの合理的な構造計画の考えが短期間でのこの建物の建設を可能にしたと考えられる。また、造作の仕事に関しても、全てに目違・栓・楔を用いた丁寧な仕事で、教科書として採用したい建物でもある。

なおこの建物は現在NPO市民文化財ネットワーク鳥取が寄付金を募りその所有権を確保しその保存に向けて奮闘中である。
更なる皆様のご協力を得られれば幸いである(風)